前回は「ずっと続いていることを言う表現」を
学びました。
そのなかで“have+過去分詞”という
言い方を学習したわけですが、
本日はこれのさらなる深掘りです。
これを学べば、英語の本質に迫れます。
これによって
英語における時間の感覚を掴む
ことができるようになります。
では、早速いってみましょう!
“have+過去分詞”の復習
英語における時間の感覚を掴むことを
今日の目標としていますが、
実は前回の時点で既に半分はその感覚を
理解できている状態です。
英語における時間の感覚。
それはつまり
過去と現在と未来は断絶している
という話でした。これ自体は実は日本語も
同じような感覚はもちろんあるんですが、
英語の方が日本語よりもハッキリと
断絶している感じがあるのです。
英語は動詞が要になってくる言語である以上、
動詞の部分でハッキリと時間の感覚を
表明しなくてはいけないことが
少なからず関係しているのでしょう。
図で言うとこんな感じでしたね。
このように、動詞の見た目を変えることで、
もう、それはそれはハッキリと時間を
表現できます。
ただし、このハッキリした感じが仇になっていて
過去から現在、もっと言うと現在から未来も、
それぞれの間を繋ぐ表現が必要になります。
例えば、上の図の青い部分を言いたくなった時に
それ相応の表現をしないと、相手に伝わらない。
そこで解決策として登場するのが
“have+過去分詞”というわけでした。
- He has played tennis.
「彼はテニスをプレーし続けている。」
と言うことで、過去と現在の断絶を無くし、
「ずっとし続けている」ことを表現できる。
というのが前回までの説明でしたね。
“have+過去分詞”が示す時間
これは一重に“have”という言葉の持つ意味、
もっと言うと感覚というものに
「保持する」というイメージがある、
ということが大きいでしょう。
これも前回お話した通りですね。
過去分詞の状態を保持しているのです。
で、今日のポイントはまさにここです。
“have+過去分詞”が示す時間を
改めてよく見てください。水色の部分です。
今まで説明してきたように
「過去から現在までずっと続いている」
とも言えますが、逆に言えば
「現在含め、現在より前のこと全て」
とも言えますよね。
これが超重要です。
“have+過去分詞”が表現できる時間軸を
現在より前のこと全てと捉えると、
話し手自身がどれぐらい
前のことを振り返って
話しているかによって
文章の意味合いが変わる。
ということになります。
ちょっと言っていることが難しいですかね。
注目すべきは話し手の意識なのです。
ちょっと想像してみてください。
今より前の時間を全て表現できるということは、
“have+過去分詞”を使う話し手の
時間に対する意識は、以下の3パターン
あるでしょう。
- 過去から現在までずっと ←前回の学び
- 過去の中でも割と最近
- 過去の中でも結構前
上記3パターンの全てを”have+過去分詞”で
表現することができてしまうということです。
具体的に見てみましょう。
過去から現在までずっと継続
これはまさに今まで通りの意識です。
今を含めて今より前の全て。
ずっと継続して何かをしている状態ですね。
- He has played tennis for 5 years.
「彼はテニスを5年間続けている。」
「彼はテニスをしてもう5年になる。」
みたいな感じですね。
これは何の問題もないでしょう。
過去の中でも割と最近の話
“have+過去分詞”が今を含んで過去の全てに
言及することが可能であるのを踏まえれば、
話し手の意識の中では、同じ過去でも
その昔度合に差があるはずです。
下の図のように、割と最近の過去について
言及したい場合もあることでしょう。
同じ言い方でも話し手の意識の中では
割と最近の過去のことを言っている。
そんな可能性もあるのです。
ただ、こればっかりは本人に聞かないと
どの程度の過去のことを言っているのかは
分かりません。たいていの場合は、
つい最近の話だよ、と言うヒントをくれます。
例えば…
- He has just finished tennis practice.
こんな感じで“just”という言葉が入りました。
「ちょうど」とか「まさに」という副詞です。
万一、副詞について自信が無ければ
以下もご参照ください。
“just”が“finish”「終わらせる」という
言葉と一緒に使われているということは、
「まさに(つい最近)終わらせた」
ということが感じられますよね。
ですので、
- He has just finished tennis practice.
「彼はついさっきテニス練習を終えた。」
という解釈になります。
無理やり直訳ゴリゴリで考えると、
テニス練習を終わらせた状態が継続している
という考え方ですね。
要するにもうテニス練習は終わっています。
“just finished”(ついさっき終わった)です。
完了しています。割と最近の話なのです。
他にも、こういう文章ならどうでしょう。
- She has already eaten breakfast.
“already”は「既に」という意味の副詞です。
「既に」と言われたら、これも先ほどと同じで
つい最近完了した話だと考えられます。
- She has already eaten breakfast.
「彼女は既に朝食を食べました。」
という意味であると解釈できます。
こちらも先ほど同様完了してますね。
こんな感じで“have+過去分詞”は
話し手の意識によって割と最近の過去にも
言及することが可能ということです。
まぁ、究極的には話の流れや、
話し手が出してくれるヒントを受け取って
判断するしかないですが、その判別は
まぁまぁ容易だと思います。
過去の中でも結構前の話
そうしましたら、次は今から過去を振り返って
結構前の話について言及したい時です。
図で言うとこのあたりですね。
このあたりの話について言及するとなると、
「かつて●●した経験がある」ぐらいの
感覚になってきますね。
- I have seen that movie before.
と言う文章だとどうでしょうか。
“before”(=「以前に」)という副詞で
ヒントが出ていますね。
- I have seen that movie before.
「私はあの映画を以前観たことがある。」
ぐらいの経験のニュアンスで
解釈してあげるのが妥当でしょうね。
では、これはどうでしょうか。
- I have never been to Japan.
“never”は「決して~ない」という
否定の言葉です。否定ですから原則通りに
“have”の直後に入っていますね。
これも完全に経験について話しているでしょう。
- I have never been to Japan.
「私は日本に一度も行ったことがない。」
では、
- I have never been in Japan.
と言ったらどうでしょうか?
“to”か”in”の違いだけですね。
“to”は「~へ、~に」という方向性、
“in”は「~の中に」という意味ですから
- I have never been in Japan.
「私は一度も日本の中にいたことはない。」
要するに今まで日本で住んだことはない、
という経験を言いたいんですね。
いずれにせよ、話し手が出すヒントや、
会話の流れを参考に
意味を汲み取ってあげましょう。
今日の復習と次回の予告
今日は、日本語と英語の大きな違いの一つ、
時間の感覚についてかなり踏み込みました。
- “have+過去分詞”は
今を含む過去を
振り返ることができる表現 - 話し手の時間軸に対する
意識次第で
「継続・完了・経験」を
表現できる
同じ表現でも文脈によって様々な解釈が
できるというのが英語の本質の一つです。
次回は、さらに細かな時間軸の話です。
時間の表現を自在に操れるようになるまで
あと少しです。