もしものことを言う、そんな表現です。
今日の目標は
現在の事実に反する仮定を言う
です。
これを言うには明確な表現の公式があります。
その通りにあてはめれば言えてしまうのです。
あまりそういうあてはめ系の、
なんだか算数のようなやり方は
個人的には好きではないのですが、
今回の「もしものことを言う」場合には
それにあてはめるのが簡単です。
ですので、ここは軽く、その公式を知って、
自在に使えるようにしてしまいましょう。
では、早速その中身に入っていきます。
日本語と同じ基本の考え方
この「もしも」という表現を使う時、
日本語だと皆さんならどう言いますか?
あまりに有名なこの文章で考えましょう。
もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいくのに。
なんて詩的なお話。例にするのも恥ずかしい笑
でも、これが結局、考えやすいのです。
この文章は明確に現在の事実に反しています。
「私」は「鳥」では「ない」ですからね。
ましてや「飛んでいく」ことはできません。
このように、現在の状況ではあり得ないこと。
これを言う表現をしたい、というのが趣旨です。
もう少し気持ちを込めて、明らかにこれが
現在の事実に反した仮定だとしたら、
日本語で何て言いますか?もうちょっと強く。
多分、こんな感じで言うのではないでしょうか。
もしも私が鳥だったなら、あなたのところに飛んでいくのになぁ。
先ほどの言い方よりも強調するために
「鳥だったなら」という表現になりました。
これは状況にもよりますけど、後半の文章で
「あなたのところに飛んでいくのに」
などと言っていることから推測すると、
恐らく文章全体としては現在の話でしょうね。
でも、もしもの部分は過去形ですね。
「もしも私が鳥だったなら」という表現は
現在のことを言っている可能性が高いけど、
表現としては過去形で喋っています。
この感覚が今回、ちょっと大切なのです。
実は不思議なことに、この感覚というのが
日本語と英語でなんと共通(!)なのです。
現在の事実に反することは
過去の言い方で表現できる
では、英語でこの文章はどう表現するか。
これは以下のように言います。
If I were a bird, I would fly to you.
「もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいくのに。」
現在の事実に反する仮定であることを
強調するために日本語訳では敢えて
「だったら」ではなく「なら」としています。
この英文について、理解を深めましょう。
現在の事実に反する仮定の言い方
先ほどの英文を再掲します。
If I were a bird, I would fly to you.
「もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいくのに。」
この文章が普通ではない部分に
オレンジの下線を引いてみますね。
If I were a bird, I would fly to you.
「もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいくのに。」
まず最初の“were”について。
これは明らかにおかしいでしょう笑
百歩譲って“was”なら分かりますよね。
主語が複数でもないのに”were”はおかしい。
さらに言うといきなり過去形なのも唐突感。
仮に主語が複数だったとしても、
現在の話をしているであろうなかで
過去形が語られるのは違和感があります。
そうなんです。現在の事実に反すること。
つまり「あり得ない」ことを言う場合、
英語では文法まであり得なくなるのです。
「あり得ない」ことを言う場合、
英語では文法まであり得なくなる
自分が鳥であるわけがないのだから、
“I were”と言うことで文章のその部分を
あり得ない形にしていますよね。
そして後半。“would”も唐突でしょう。
これは“will”の過去形ですよね。
つまり、現在のことを言うにしても
過去形にして喋っているのです。
文章全体を通じて現在の話をしているはず。
でも、そこで使われている言葉は
“were”にしても“would”にしても過去形です。
この感覚はまさしく先ほど述べた通りで、
日本語と同じように理解できると思います。
つまり、こういう公式になります。
If ● were ▲, ● would ■.
これで現在の事実に反することを言えます。
ニュアンスで言葉を変える
この文章の日本語訳は以下の通りでした。
「もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいくのに。」
「あなたのところに飛んでいくのに」
というのは「私」の「意思」ですよね。
だからそのニュアンスを表す単語である
“will”が使われ、現在の事実に反する話だから
その過去形である“would”が使われています。
動詞にニュアンスを込める言葉、
覚えていますでしょうか?
もしも忘れていたら以下で復習してください。
それと、過去形の話。これも覚えていますか?
概要は以下で復習です。
動詞にニュアンスを込める言葉の過去形は
以下のブログで触れています。
以上の復習を踏まえて…
では、先ほどの文章にこんなニュアンスを
込めたい場合にはどう言えば良いでしょう。
「もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいけるのに。」
後半の文章に「可能」のニュアンスが
入りました。明らかに“can”を使いそうですね。
“can”を過去形にすれば良いでしょう。
“could”ですね。
If I were a bird, I could fly to you.
「もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいけるのに。」
やっていることは実にシンプルですよね。
上記のブログで触れた注意書きの意味が
ここで明らかになりました。
“can”の過去形の説明部分において、
以下のような注意書きをしていました。
ここで言う「別のニュアンス」というのは
現在の事実に反する仮定のニュアンス
だったというわけですね。
ですから“can”の過去形だから「できた」
という意味だと思ってこれを連発すると
文脈次第では現在の事実とは反する話を
していると受け取られてしまう可能性が
あるんですね。文脈を意識したいですね。
では、続けて以下のようなニュアンスを
文章の後半部分に加えたかったらどうでしょう。
「もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいくんだろうな。」
「多分飛んでいく」みたいな「多分」という
ニュアンスが入りました。
どのニュアンス言葉を使いましょうか?
“may”が良さそうですね。ではこの“may”の
過去形を使いましょう。“may”の過去形は
まだご存知ないですね。ここで知りましょう。
“might”です。
If I were a bird, I might fly to you.
「もしも私が鳥なら、あなたのところに飛んでいくんだろうな。」
こんな感じでニュアンス言葉を過去形にすれば
現在の事実に反する文章の後半部分は
簡単に言うことができるのです。
今日の復習と次回の予告
学んできたように、
現在の事実に反することを言う文章というのは
かなり言い回しが決まっている感じです。
- 「あり得ない」ことを
言う場合、英語では
文法まであり得なくなる - If 主語+動詞の過去形,
主語+ニュアンスの過去形
+動詞の原形.
ちょっと公式っぽくなって嫌ですが、
そんなに複雑な話ではありませんので
軽く覚えてしまいましょう。
今日は現在の事実に反する仮定を扱いました。
次回は過去の事実に反する仮定についてです。